未来のデイリーライフ

ツーリングの備忘録をメインに、自転車や日常の事も書きます

初めてサーキットのフリー走行をしました

バイクに乗り出して7年くらい経つけど、最初に買ったバイクがRC390というスーパースポーツバイクだったので、いつかサーキットを走ってみたいと思っていた。

それがついに現実のものとなった。

 

ふと、夏のボーナスの使い道について考えた時、候補がいくつかあった。そのうちの一つがレーシングスーツ、つまりツナギである。ツナギがあればサーキット走行が出来るようになる。

思い立ってクシタニ名古屋店にお邪魔して、置いてあるツナギを試着させてもらった。クシタニのツナギはグレードがあって4種類くらいあり、エントリーグレードで約17万。セカンドグレードで20万。エントリーモデルはデザインとサイズはある物から選べて、セカンド以上だとサイズ調整やデザインをオーダー出来る。下調べ時点ではデザインが微妙なエントリーより、+3万払って身体にあったツナギをオーダーしようと思っていた。ところがお店でエントリーモデル着させてもらうととてもしっくりくる。流石はクシタニ、着心地がとても良い。安いモデルはゴワゴワした着心地なんだろうなと思っていたけど、いい意味で予想は裏切られた。『これ買いたいです』

 

その日エントリーモデルのジャストサイズがお店には無かった為取り寄せてもらうことにして、一週間後再び訪れたクシタニ名古屋店で勢いのままにお買い上げしてしまった。

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因みにサーキット走行をするのに必要な装備は基本的に、

フルフェイスヘルメット

革ツナギ(革ジャケット、パンツで可のところもある)

レーシンググローブ

レーシングブーツ

であるが、僕の場合今回買ったツナギ以外は持っていたので、これで準備が整ったことになる。

7年前、RC390購入キャンペーンで貰った限定グローブとブーツがようやく日の目をみた。

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装備は揃った、さあどこのサーキットを走ろうという話になる。

候補は鈴鹿ツインサーキットか幸田サーキット。鈴鹿ツインはピレリのファントラックデイやラパラというイベントで行ったことがある場所で、同イベントの他にもちょくちょく走行会をやっていて参加しやすそうな印象。

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幸田は行ったことはないけど、Twitterのフォロワーさんがモタードで走っているイメージがあったので行くならこちらかなと考えていた。

 

が、クシタニでツナギを買った時に第3の候補が現れた。店内の掲示にも宣伝があり、店長さんもオススメしてくれた『スパ西浦モーターパーク』である。

店長さんいわく、無料のライセンス講習を好きなタイミングで受講したら、あとは走行料を払って走るだけのシンプルな仕組み。また音量規定がある為、バチバチに走る人は少なく、初心者で遅くても参加しやすい。

その日初めて知ったサーキット場だったけど、とても都合がいい気がする。

ツナギを購入したその日にスパ西浦に問い合わせて、翌日のライセンス講習の予約を入れた。

 

翌日、買ったばかりのツナギをSMCRに積んでスパ西浦にやってきた。

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一応ライセンス講習を受けた後、午後からの枠で走れるように準備はしてきた。ただやはり初めての場所、初めての経験での緊張、不安、その時の雰囲気で決めようとは思いつつも、気持ちとしては五分五分だった。

 

下調べでコースは勿論設備等も頭に入れてきていたので、取り敢えず真っ直ぐ受付に向かう。平日は空いていると聞いていたので、土曜日の今日は満車かなと思っていたけど思いの外少ない。個人ブログなんかではトランポが多く自走組はアウェーなんて記事が多かったが、自分含め3割くらいは自走にみえる。

受付では昨日問い合わせの電話を受けてくれたお姉さんが愛想よく対応してくれた。電話の時も思ったが、受付の感じからして悪い雰囲気ではなさそう。

 

ライセンス講習は会議室できちっとやるのかと思っていたら、休憩室の端でビデオを観る形だった。内容としては概ね公式HPに書いてある諸注意等々で、コースインやピットインの注意も右左どちらに寄ってかの違いはあれどどこのサーキットでも同じだと思う。あとはMFJの公式シグナルの説明があり、これは1回では覚えられない。ただフリー走行するだけならば完璧に暗記するまでは必要なさそう。スパ西浦のフラッグと信号は別であり、これに関してもおよそ共通の内容だ。

 

そんな感じであっさりライセンス講習は終わり、半券も貰えたので申し込めばフリー走行できるようになってしまった。

講習が始まる直前に、講師役のスタッフさんから『今日このあと走られますか?』と聞かれたが、『全くの初心者で(経験者と来ている訳でもないので)勝手が分からないので、一度様子を見てから決めます…』とチキってしまったのはよく覚えている…

 

取り敢えず観覧席から様子を見よう。そのつもりで来たのだから。

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10台くらいのバイクが走っている。モタードは当然の如く一台もいない。9割SSだ。半分くらい大型で、小さいninjaが数台。ホームストレートでマルチの甲高い音が走る抜けるが、前に鈴鹿ツインのイベントで見た時ほどの迫力は感じない。台数が少ないからか、音量規定のおかげか。スパ西浦は後半がヘアピン3本になっている為難度が高いらしい。確かに後半にいくと走っているバイクのスピードが大分落ちているように見える。フルバンクで華麗に回ってはいるが。しかしヘアピン3連続はモタードにとっては得意分野では?…あれくらいのスピードならなんとか混じって走れそうかな。モタードだしそこで追いつけるかも…

 

『すみません午後からの枠って今何台くらい埋まってますか?』

『結構少ないですよ(リストをみせてくれる)』

『あっ、じゃあ予約します』

 

慢心イキリ初心者モタード乗り、爆誕である。

スパ西浦に突如やってきた謎のKTM乗りは、ピカピカのツナギに着替え(ブーツだけは普通に使っていたので微妙に年季入ってる)、休憩室で小さくなってその時を待った。

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走行時間10分前にブリーフィングが行われる。

『今回の時間、走行台数は13台。フリー走行およびスパ西浦初参加の方が1人見えますので、皆さんベテランの方々ご配慮願います。』

『(いや俺だけかーい)』

『外気温路面温度共にかなり高くなってきていて、タイヤが熱ダレしやすくなっていますので、転倒には十分気をつけてください。それでは』

初参加の人は残って個別ブリーフィングがあるそうなので、皆が捌けた後にスタッフさんの元へ。

先程のライセンス講習の内容の復習的な話と、コースの詳細説明をしてもらえた。コース図を示しながら、コーナーR、勾配、ブラインドコーナーパイロンが置いてあるのでそこ目掛けて走れば良いとの事。事前個人ブログやYouTubeにアップされた走行動画を見ておいたおかげで理解しやすかった。

『モタードは全然走ってないみたいですが、モタードで走った時に要注意なポイントがあるんですかね?』

『カーブが深いのでステップ擦るかもしれません、そこだけ注意してもらえれば』

今日もそうだし、普段もこのサーキットを走るのはSSが大半のようなので、モタードが走らない事情があるのかと思って聞いたが、特に何もなさそうだった。

 

そしてついに時間が来たのでピット前へ。最初の3周はウォームアップ走行。本当になんも分からん上に実は今月頭にタイヤ交換そてもらって皮剥きが済んでない状態で来ているので、ケツを走りたかったのだが皆さんまるで並ぶ様子がない。駐車場で待っていたがまるで動く気配がないので渋々移動して、3場番手に並んでしまう。いや勘弁してくれ。

 

イベントだとスタートはスタッフさんが立っていて合図をくれていたのだけど、フリー走行だとアナウンスと信号で自己判断でスタートらしい。一台ずつコースインとは聞いていたので、前走車が出てワンテンポ遅らせてからスタート。スロットルを捻って突入する。

 

サーキットフリー走行は初めてだが、前述のようにサーキットで行われるイベントには何度か参加したことがある。その中で『体験走行』として先導者付き追い越し禁止条件で走った事はあった。その経験からすると、普段ツーリングしかしないサーキット初心者には『体験走行』『ツーリングペース』と言われても大分速く感じてしまう。サーキットコースというだだっ広く見通しの良い所にいきなり放り出されて速度感覚が狂うのだろうか。大概初参加すると『(ゆっくり走るって聞いてた割には)いや、はええな…』と思う。

 

きっとウォームアップ走行もこうなると見ていた。サーキットというものに慣れていない自分が、経験者のウォームアップペースに着いていくのは危険。ましてや皮剥き終わっていない。案の定、ウォームアップのペースじゃないだろ…という言葉が漏れる程度に前走車は離れていく。実際自分が遅いだけだとは思うが。ともあれ本当に冷静さを失わないようには意識した。こうなる事が分かっていたからケツにつきたかったのに、先に並んでくれなかったお前らが悪いんだからな!と毒づきつつ、1周目からどんどん追い越してもらう。きっちり3周ウォームアップしたかったけど、2周目半分くらいでこれ以上チンタラ走ってると流石に危ないと思って本気で走ることにする。

 

そこからはもう夢中だ。

正直スポーツ走行のことなんてさっぱりわからん。膝スリ?サスの使い方?なんぞそれ。自分が分かっているのはKRiSPやパイロンパークで学んだ、曲がる方向にきっちり頭を向けることと、バイクはニーグリップしとけば大概なんとかなる事くらいだ。あとはブレーキは前後使うこと。公道を安全に走る知識しかない。

 

かつてファントラックデイの体験走行でRC390を走らせた時、ホームストレート130kmから最初のフルブレーキで一気に2つギアを下げてケツがアホみたいに揺れて転倒を覚悟した。急なシフトダウンはそういう挙動になることも知っている。ただしSMCRはRC390と違って電子制御モリモリだ。クイックシフター+でアップもダウンもスムーズだし、スリッパークラッチで無理なシフトダウンもある程度面倒見てくれる。コーナーもどれだけバンクしているのか、こんな曲げて良いのか、トラコンが付いているから相当おかしな事をしなければ破綻しないはず。

 

タイム。計測器を借りれたのでラップタイムがホームストレートの掲示板で確認できる。1‘30“、1’20”、1‘15“、5周くらいで慣れてくる。月刊レコードは58、59s台。なんとか1’10“台まで持っていければ御の字か。因みにモタード部門はハスクの401が1‘05”らしい当面はそこが目標か。

 

気づいたら全然追い越されなくなってきている。ホームストレートやヘアピン前で後方確認してもバイクがほとんど見えない。暑さでタイヤがタレタレで皆戻っているのか。素人にはタレても違いがわからないけど、流石に集中力切れてきてへんなラインで曲がってしまう。たまらずピットイン。

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ウワァ

よく消しカスとか鼻くそって言ったりする気がするけど、これもうただ溶けたゴムだよ…

写真は50分走行後だけど、最初の30分走ってピットインしたときには既にこんな感じだった。

 

10分休憩して再度コースイン。

やっぱり台数が少ない。走りやすいが。ただ同じ人に何度も抜かれているのが分かって申し訳なくなってくる。邪魔して申し訳ない…。

因みに観覧席から、ヘアピンならこっちの方が早く走れそうなどとイキリ散らかしていたが、ヘアピンで追いつくことはなかった。

 

それで何周も何周もして、タイムも1秒ずつ減っていって、1’11“台に乗った頃、黄色い点滅でクールダウン走行の指示が出た。あっという間だった。

 

50分のフリー走行が終了。訳のわからないくらいタイヤはベロベロになり、アマリング警察にも胸を張って見せられるレベルだった。

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フリー走行ベストラップの動画がコチラ

youtu.be

 

受付に計測器を返して、タイムの書かれた紙を貰い、1人反省会開始。アイスコーヒーうま

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50分間で30周。

ベストラップは1‘11”370

いかんせんひとりで来ているので多いのか少ないのか、初めてにしてはよくやったのか全然なのか…

タイムに関しては、掲示されている月間レコードタイムが1分切っているのと、同じモタード枠で1’05“がいるのであと6秒縮めないといけない事はわかる。燃えるな。

 

反復練習が嫌いじゃない。だから対向車とか飛び出しとか、そういうのが一切ないクローズドなコースで何回も走り込んで練習がしたい。そういう気持ちでサーキットやってみたいと思っていた。マリオカートレインボーロードを極めるまで走り続けるように、リアルの世界でそういう事をやってみるというのもとても楽しそうじゃない。

お手洗いに行って鏡を見ると、ちょっと生き生きした表情が映っていた。

 

とはいえ怖いので全開走行は全然できないなと感じた。すぐにスロットル戻してしまうし、緊張していた割にヘトヘトになっていない。まだまだ余裕があるというか、攻め切れてない。余力があるというより、怖いしこんなもんでいいやろという妥協がある気がした。

あとはお手本やライバル的な人が走っていないというのも今後課題か。SSの人たちの走りが参考にならない訳じゃないけど、同車種のほうが真似しやすいと思う。

 

そんなこんなでサーキット初走行、刺激がたくさんで本当に楽しかった。

突き詰めようと思うと課題は沢山だけど、まずはわかりやすく目標タイムがあるので、それを目指して楽しく腕を磨けたらと思う!

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(後日、ピカピカのツナギを見せびらかしツーリングで撮ってもらった写真)