『芯が回ってトガり続ける!』というような謳い文句で学生の心を鷲掴みにした(と思われる)アイテムだ。
確か自分が中学生ぐらいの頃に初めて発売されてちょっとした話題にもなっていた気がする。
そんなクルトガ、私も持っていてずっと使っていたのだが、今日、クルトガが折れてしまった。
シャーペンの芯が折れたとか、後ろの消しゴムが折れたとか優しいものではなく、本体、ボディが折れてしまった。修復不能…
折れた理由は多分寿命だったのだと思われる。
踏んづけたとか、叩きつけたとかそういう事はなく、いつものように作業着の胸ポケットに刺していた所、突然クルトガが跳ねてポケットから落ちた。何事かと思って確認すると、先端がなく、持ち手と後ろの消しゴムだけになってしまったクルトガ。シャーペンはたいてい本体にきってあるネジと先端のキャップを接合してとまっているが、先端とネジはとまったまま、ネジの根本が折れてしまっていた。
よく見ると持ち手にあたる本体に直接ネジがきってあるのではなくて、ネジがきってある部分と持ち手は別のパーツになっていた。その接合部が割れてしまったようだ。
↑右が職場あった壊れてないクルトガ。オレンジで囲ったパーツと黄色で囲ったパーツの接合部が割れてしまった模様
さてこの折れて壊れてしまったクルトガ、考えてみれば自分の半身みたいなものだと気付いた。なんせ学生時代に購入してから社会人として働く今日まで10年以上使ってきていたからだ。その間、授業のノート、宿題、レポート、日記、アニメや漫画のキャラクターの模写やイラスト(+黒歴史ノート)、社会人になってからもメモ取りにと対外の書き物にはこのクルトガを使ってきた訳で、下手するとどの友達よりも付き合い長いんじゃないだろうか。
これまでの人生クルトガ1本でやってきたかと言われたらそれは流石にない。学生でシャープペンシルの使用が認められるのは中学生からで、入学当初はクルトガが出ていなかったから、違うシャープペンシルを使っていたはずだ。それにクルトガはグリップが固めなのでペンダコが出来やすくて痛い。ボディも細めだから筆圧が高くなりがちで文字が濃くなるから一時期遠ざけていた記憶もある。
けれどいつもクルトガはペンケースに入っていた。それは初めて手にした中学生時代も、その後の高校生時代でも確実に入っていて使われた。学生が終わって紙に文字を書く事が減る社会人となっても、胸ポケットにはボールペンと隣にクルトガだった。何だかんだずっと一緒だった訳だ。
どうしてだろうか、先程述べたようにクルトガには気に入らないところもあった。クルトガよりゲルグリップのシャープペンシルの方が痛くないし握りやすい。好きな漫画の抽選プレゼントで当てたオリジナルのシャープペンシルを使っていたこともある。けれどシャープペンシル、何使っていたっけなと思い出すとき最初に出てくるのはクルトガだ。
クルトガを手に入れたとき、学校のライフ(次の日の時間割や持ち物、一言日記を添えて毎日提出するノート)に『流行りのクルトガ買っちゃったぜ!やったぜ!』みたいな事を書いたら、昼休みに担任の先生に見せて見せてと話しかけられた記憶がある。
当時シャープペンシルでイラストを描くのにハマっていたときに使っていたのはもっぱらクルトガだった。
中二病に目覚めたとき綴っていたノート、あれもクルトガによって書かれたものだ。
インクが切れたら新しいものに変わっていく青ペン赤ペンと違って、芯を替えてずっと変わらず使い続けていくシャープペンシル。その中で何かしらのエピソードを思い出せるのはクルトガだけだ。他のシャープペンシルはデザインすらあまり思い出せない。
そんなクルトガが今日突然壊れたとき、そういえばずっと使い続けていたわ、あんな事やこんな事もあったな、などと思い出したわけだ。
けれど壊れてしまったことがめちゃくちゃショックで落ち込んでしまったかというとそうでも無い。クルトガは好きだが愛していた訳ではない。うっかり机から落とすことも、イライラして机にコンコンやってしまうことも、落とした拍子に踏んでしまったこともある。普通の文房具として扱ってきた、気づいたらずっと使っていただけで。
だから壊れてしまったクルトガに思うのは、お疲れさま、ということだ。10年以上お世話になりました。
適当に使っていても10年使ったのだ、次はちょっといいシャープペンシルを買っても良いのかもしれない。そんな事を思った。けれど次の10年に学生はないし、きっと書く量はクルトガに及ぶことはないのだろう。だからだろうか、きっとクルトガの事は忘れないんだろうな。